「D-Spray 媚薬でモテモテ課長代理補佐」の感想・その3(まとめ)

ネットでちらほら感想やレビューを見かけるようになったので、自分も全キャラのエンディングを見た上での感想を書いてみる。CG、回想などはすでに数週間前にコンプリートしていたのだが、こんなシンプルなゲームでも真面目に感想を書こうとすると意外に言葉が出てこない。もっと不真面目に書くべきなんだろうか。とりあえず、ゲームの各要素を数字で表すと個人的にはこんな感じ。

  • CG/9 (白とピンクのコントラストが個人的にツボ*1
  • シナリオ/8 (総じて手馴れている)
  • システム/8 (バックログと音声再生、既読スキップなど)
  • キャラ/7 (類型的なものが多いのは仕方がない)
  • エロ/9 (挿入してからもそれなりに長い)
  • 音声/8 (おおむね無難なできか*2
  • 容量/7 (一回のプレイにかかる時間は2、3時間くらい?)
  • 総合/8 (絵が気に入れば9でもいいと思う)

以下、補足など。
<シナリオ> 感想・その1で書いたように、どの選択肢を選んでもHシーンが出てくる紛れもない「やりゲー」ではあるが、何もかも無理やりに事を運ぶ鬼畜、陵辱系でないのが自分には合っていたようだ。
媚薬で女性をたらしこむのにも関わらず無理やりでないというのには理由があって、この作品における媚薬の効果は単なる性的欲求にとどまらないというのがポイント。つまり、心にも作用するということである。スプレーによってまかれた媚薬成分を吸いこむと、まるで元から主人公に並々ならぬ好意を持っていたかのような気分になるという実にパーフェクトな設定。早い話が「惚れ薬」である。
おそらく、このことが各ヒロインを本来あり得ないほどの性欲におぼれる痴女に貶められるのを防いでいるのだと思う。心が拒否しているのに身体だけが主人公を欲しがるという状況で何度も行為を重ねられた場合、精神と肉体のバランスを取るためには心が折れるしかない。でも、偽りにしろ相手を好きという感情が最初から同居しているのなら、本気で好きになってしまうこともむしろ自然な流れである。
まあ、それで人の心を変えてしまうのだってあまりほめられたものではないのだが、ヒロインが自身の身の上にどこか無意識に不満を持っていて、何らかの変化を望む気持ちがある場合は結果オーライになることもある、というのがこの作品のストーリーの基本的な落としどころになっている気がする。
<キャラ(主人公)> シナリオにも多少関係するが、このゲームがエロに特化しつつもどこかゆるい雰囲気なのは主人公のキャラによるところが大きいのかも。仕事はできない、女にもモテないダメ中年というプロフィールだが、曲がりなりにも社会人らしく多少の謙虚さと良識を持っているところがある。プロローグ*3においてヒロインの一人川崎朋香に媚薬を使う直前に次のような台詞を内心で吐いている。

もう少し愛嬌があればな。
それなら会社での媚薬の使用も思い直しようがあるんだが、
(中略)
この悪戯は正当な罰だ。そういうことにしておこう
さもないと、合意ではあり得ない薬によるセックスを仕掛けるのはさすがに良心がとがめる

そんなことを言いながら結局媚薬を使ってしまうので、単なる言い訳でしかないのも事実だけど、一応理屈を考えるだけ、まともな神経があると見てもいいのではないかと思う。化け物じみた性欲や鬱屈したコンプレックスからくる行動でないのがある意味ナチュラルである。いわば、たまたま媚薬という便利アイテムを持たされたからこその大胆な振る舞いという印象が強い。仮に他の誰かが同じ状況になっても結果的には(よほど道徳心に優れていれば別だが)同じことになるんじゃないだろうか。余談だが、主人公が会社内であまりいい扱いをされていないという設定は作品中ではかなりマイルドに表されていると感じた。ヒロインの中で当初の関係が薫と並んでよくない朋香でも、ちょうどこの台詞が出る前の場面で、主人公の後ろに誰もいないのに「あ、課長*4」と偽の挨拶をしてからかっていたりする。心底どうでもいい相手なら初めから会話すらしないとおもうんだけど。
<キャラ(ヒロイン)> ヒロインたちを差し置いて主人公キャラの分析などしてしまったが(笑)、せっかくだからお気に入りのキャラでも。
感想・その2でもちょっと書いたが、やはりここは真のメインヒロインの麗子だろうか。なぜ媚薬を作ったのか、そしてなぜそれを主人公に渡したのかということに理由があったということ自体がまず驚きだった。眼鏡キャラが苦手な自分にしては違和感なく受け入れられたキャラでもあるし。
そもそも、フィクションにおける女性キャラの眼鏡は、「内気、もしくは不器用」、「偏った知性の持ち主」、「マッドサイエンティストの卵」のいずれかであることを手っ取り早く表す為の記号として安易に使われすぎているのが困るんだけど。そういう意味では、麗子というキャラは優秀な科学者であることで上の二つ目の要素に当てはまりはするものの、極めてフランクな(どちらかといえば男に近い)言葉使いをする人物で、主人公から見れば地位は上なせいか堂々としているし*5、見え見えの隙がないのがいい。
他のキャラも別に気に入らないわけではなくて、キーワードだけ拾うなら、

  • 綾菜 (上司の婚約者を)寝取る、処女貫通
  • さやか 人妻OL、セーラー服のコスプレH*6、長い髪をリボンで縛った髪型*7
  •  秘書室でバニーガールのコスプレH*8、常務の愛人を寝取る
  •  会議室で秘密のHな面接、最初は後ろ
  • 朋香 綾菜と屋上でレズもどき(その後主人公と3P)*9

と、見所には困らない。
<攻略メモ> 攻略サイトもあるようだけど、普段、ややこしいゲームだとすぐに外部情報に頼る自分が自力でコンプリートできたところからして、難易度は推して知るべし。プロローグはHシーンで「中出し」「外出し」を選ぶだけだし、本編に入ってからも好きなキャラを選んでいればそのキャラのエンディングは見られる。条件づけが必要なHイベントに関しては、上の各キャラの脚注を参照のこと。唯一の10代キャラである愛は、朋香のルートをある程度進めていくと、媚薬を愛にも引き続き使うかどうかの選択肢が出て、使うことにすればHシーンは見られるが、最終的には社外の人間に使ったときのバッドエンドと同様の結末になってしまう。ちょっと残念。
感想・その1その2へ

*1:ピンクというのは、主に頬の赤みのこと。ヒロインは全員肌が白いので、よりその色が際立っている。ついでに言えば制服の色もこの組み合わせ。

*2:薫役の人が多少喘ぎ声にわざとらしさがあるのが気になったくらいか。綾菜役の木村あやかさんが普通の大人の女性の声を出しているのが面白い。

*3:体験版で遊べる部分。

*4:主人公の年下の上司。ヒロインの一人綾菜の婚約者。

*5:「課長代理補佐」は有名無実の肩書きで、主任である麗子の方が立場は上。

*6:感想・その2でも書いたように、他のキャラ(自分の場合は綾菜だった)をエンディング直前まで進めている状態でさやかを3回選ぶと出現するイベント。

*7:これはまあ、自分の趣味だけど。

*8:最初から薫だけ選んでいると出ないイベントだが、自分の場合だと、さやかのエンディング直前で3回薫を選ぶとこのイベントが起こった。

*9:綾菜をエンディング直前まで進めている状態で朋香を3回選ぶと出現。