「夜明け前より瑠璃色な(オーガスト)」の感想・その2

昨日の続き。クリアした順で書いてみる。

各キャラについて

フィーナ
初回プレイでは強制的にエンディングになるキャラだが、その時点では二人が婚約を仲間内で決めたところまでで終わっているので、ちょっと話的には物足りなかった。他のキャラも全部エンディングを見た後で、ゲームのタイトル画面に「夜明け前より瑠璃色な」というメニューが追加されて後日談が見られるようになる。これが単なる後日談というには長すぎるボリュームで、真のエンディングというかストーリーというか要は第二部である。
月に文明が存在して*1地球と交流があるという設定がようやく意味を持ってくるのがこの話で、フィーナの母である故セフィリア女王が以前地球に来た時に探していたものは何かというのが鍵になっている。それが月と地球にとって益にもなり害にもなるものであることがわかるのだが、それを益として月の住人に認めさせられるかどうかというのが話のクライマックスになっており、主人公との婚約の是非はある意味ついでのようなものである。姫と一介の高校生というギャップのありすぎる関係だから、下手に主人公を短期間で成長させてギャップを埋めるより無理はないかもしれない。
菜月
定番の幼なじみキャラ。幼い頃の約束が鍵になるというあたり、ベタを極めた展開だが、フィーナのぶっ飛んだ設定に比べれば地に足が着いていて把握しやすい範囲の物語になっている。家は隣同士とか料理が壊滅的に下手とか、さらにベタな設定もあるのでこのキャラならではという部分が見つけにくいところも。ゲーム中一番胸が大きいというのはそういう意味での差別化の狙いもあるのだろうか。
さやか
「姉さん」と主人公は呼んでいるが、従姉妹。愛情豊かな最年長キャラで、基本的には他のキャラの話での良きサポート役としての印象が強い(リース編などは特に)けど、専用のストーリーが用意されているならそれに越したことはない。
ちょっと気になるのが、めでたく結ばれた後で離れ離れになってしまうこと。これは菜月もだが、いくらお互い合意の上とはいえ一番楽しそうな時期を離れて暮らすのはもったいないというか先々が不安に思えてしまう。エピローグの形として、久しぶりに会いに来たというのは悪くないけど、どうせ色々ご都合主義な部分もある話なのだから一緒にいさせてもいいんじゃないかなぁ。
ミア
フィーナお付きの侍女。見た感じ中学生くらいか。自分より人の幸せを考えるタイプで、さらには男性に対する免疫がなく、どう見ても主人公が初恋の相手である。他に歳の近い男性がいない環境ならそれは好きになるのも仕方ない。物語的にはもちろん、最初で最後の相手ということで収まっているわけだが、いずれ歳をとってから他の人にも興味を持ったりしないんだろうかと余計な心配もしてしまう。
麻衣
血のつながっていない妹。まさにこれぞエロゲーという感じのキャラだが、さやかも含めて3人が本当の兄弟ではない関係で家族を作ってきたことをもう一度考え直すという話になっており、意外に読み応えはある。
正統派の妹キャラということもあり、控えめなプロポーションだが性的には敏感という設定になっているらしくかなり積極的な姿勢を見せる。そのせいかどうか、エロシーンでの描写が妙に細かい。内部とか音とか。もっともポルノ的なにおいがある。
リース
攻略対象だとは思っていなかったのだが、他の5キャラをクリアすると見られるようになるちょっと特殊なキャラ。SF的な設定が成り立ちにも施されている。
無表情キャラのお約束として最初はかなり手ごわいが、主人公およびさやかのやや強引なアプローチで少しずつ打ち解けていく様子はやはりぐっと来るものがある。専用のストーリーよりフィーナの話での方が幸せになっているようにも見えるのが惜しいところか。

*1:元々は、地球から移り住んだ住民が作ったという設定。