柳田君と水野さん/榎本ハイツ

maeoki2007-11-13

柳田君と水野さん (ホットミルクコミックス 251)

柳田君と水野さん (ホットミルクコミックス 251)

リアルタイムの感想は3話から5話までしか書いていないうちに単行本が出てしまった。掲載誌のばんがいちはこの作品目当てで買っていたようなものなので、本が出たことはうれしい。まあ、雑誌全体が少女漫画系に偏っているのが段々鼻についてきて、正直購読中止も考えてはいるのだが。
それはともかく、この本、表紙は水野さんが正面からにらみつけている絵でなかなかインパクトがある。帯の「勘違いしないでよね! あんたなんかただのセフレなんだから!」はツンデレの典型みたいな台詞だけど、これはもう狙ってやっているんだろう。
収録作品は表題のシリーズのみで読みきり作品は入ってない。発売中のばんがいち12月号に載っている11話までと、二人がまだ関係を持つ前の話を書いた描き下ろしが一編で合計230ページ近くあり、結構分厚い。雑誌は非成年指定だったが、これは成年指定なので修正はあってないようなもの。コアマガジン系列はこういう時に得かな。
二人の物語が一つのピークを迎えるのは5話、6話あたり。最初の1話では単なる悪役だったイケメン陸上部の武田君が実はいい人(というか不器用)だったことが判明して水野さんの心が揺れ、それを察知して柳田君が距離を置くようになり、水野さんは武田君とよりを戻し――という展開なのだが、結果的には武田君と関係を持つ寸前で彼女は柳田君のところに戻ってくる。理由は「柳田なら『あれ』がどんなに痛くても最後までするだろう」ということだが、要は思いの強さの差、ということだろうか。事ここに至っても相手のことを「セフレ」と言い張っているけど、意味的には「恋人」と同義と言っていいと思う。
後の話では、振られた武田君の前に柳田君の妹が現れてこれまたセフレ関係に、とか(7話)、水野さんのチャイナドレスとか(8話)、二人で海に行ったりとか(9話)、読みきり作品の「白い恋人」の舞台に二人が来たりとか(10話)、色々場所や人物模様も多彩になっている。水野さんのツンデレ具合を楽しむなら8話、9話か。11話ではいよいよ水野さんにライバル出現で、いまだに公の場所では素直になれない性格も修正せざるを得ないかもしれない。