「Bad Name」(同人ゲーム)の感想

Silveredsteel」の作品。以前、前作である「masher」*1をちょこっとプレイして、絵の拙さに途中で投げてしまったのだが、今回は多少グレードアップしているようなのでやってみた。以下、ネタばれは気にせずに感想を書く。
最初にストーリーの傾向を選べるようになっていて、無印のNew Gameは前作同様に容赦ない陵辱編、「True-route」と付く方は救いの手が差し伸べられる純愛編、なのだが……その相手が実父というのが普通でない。何しろ、最終的に一線を超えてしまうわけだから。商業だとかなりまずそうな設定だけど、同人ならいいのかな。
CGは良くなった部分とあまり変わらない部分があって、色塗り、グラデーションなどは前作より随分良くなっている。ただ、身体の線や輪郭はまだアンバランスな感じで改善の余地あり。まあ、キャラ萌えゲーではないし、そんなに気になるほどでもないけど。
この話で父と娘が一線を超えてしまう前提及び前段階として、以下のような流れがある。

  • 主人公(娘)は性的にかなり敏感な体質で、男たちに何度も体を触られているうちに、それが望まない行為(電車内でのいたずら)でも快感を覚えるようになってしまう。
  • 父が朝の通学に付き添うようになり、電車内で襲われなくなった後も、目覚めた性的欲求を静めるために時折、父の指を借りることになってしまった。断れない父。
  • (後書きで作者が書いているが)父も娘同様、優柔不断で流されやすい。ある意味物分りがよすぎるのか。
  • 初めは純粋に肉体的な必要に迫られて頼んでいた指による慰めが、回数を重ねるうちに主人公にとっては精神的なコミュニケーションにもなっていく。
  • 元からファザコンの気があったのが影響したのか、肉親の情を超えて会社の同僚の女性や母親に対して嫉妬心を抱くまでになる。
  • 犯人が逮捕されて主人公の身が脅かされなくなったことで、父は性的なコミュニケーションの終結を提案するが、すでに父を単なる家族以上の存在として見るようになっている主人公には耐えられない事だった。

ということで、ついに「指じゃなく……お父さん(自身)がして……」と言ってしまうことに。「今日で終わりでいいから」という条件つきで。
当然、父は断るわけだが、そこからの主人公のたたみかけるような説得&懇願がすごい。曰く、

娘:「どうしてダメなの?」……「お母さんにはしてるんでしょ?」……「何で私は駄目なの!?」
父:「あ…あいつと唯(注:主人公の名前)じゃ立場が違うだろ――」
娘:「私よりお母さんの方が好きだってことっ?」

まあ、無茶な理屈ではあるが、気持はわかるというかそこまで必死になれる主人公が羨ましいというか、シリアスなシーンなのにちょっと笑ってしまったじゃないか。(笑) すぐ後に続く独白、

その行為の本来の目的の為ではない。
ただ一緒に、もっと濃密で心地良いはずの時を過ごしたいだけ。
お父さんにも私と一緒に気持良くなって貰いたいだけ。

が主人公の側のいわば大義名分になっている。相手が「お父さん」でさえなければ文句なしに美しい動機である。
必死な主人公に対して、父も「母さんにも、全く悪くないと言えるのか?」と重たい一言を返すが、娘は母に申し訳ないと思いつつも(父、母ともに親子の関係は良好)、さらに極論に走る。

でも――、それでもして欲しい。
私だって一度くらいならお父さんを貸して貰ったって、許されるのではないか?

普通の娘はそんなことを言い出さないから考えたこともないが、結構理屈は通っているのかも。(笑)
そしてとどめの一言。

「一度してくれる事で、私に鎖をつけておいてくれなきゃ――」
「もしまたあの電車の中での人達みたいな人が現れたら……今度はついて行っちゃうかもしれないよっ?」

もう、懇願というより一種の脅迫である。それでも一度は断る父も偉い。まあ、良識のある大人としては当然のことだけど。
結局、この後一度だけという約束で娘の願いは叶えられ、都合三度の行為の描写がかなり念入りに描写されるのだが、それまでの場面のインパクトに比べれば特に変わったところはないので、もはやおまけみたいなものである。ラブラブなHシーンが好きな自分には十分美味しいのは事実だけど。
さて、力入れて書いていたら陵辱編の感想を書く余裕がなくなってしまった。気が向いたらいずれ。

*1:今回の作品はこれのラストからの続きという設定になっている。