the Sneaker4月号

またもや発売日から一月以上たっているが、ハルヒのアニメも始まったことだし。

涼宮ハルヒの退屈 ワンダリング・シャドウ②(谷川流×いとうのいぢ

すっかり長門が主役になっている。作者が意図的にしているのかはわからないけど、他のキャラより引き出しが多いというか潜在能力があるというか。3番手としての強みを生かしている。まあ、今回は75Pのイラストにおける長門の表情がすばらしく良いというのもあるが。動物の除霊にあたって戸惑っているような、はにかんでいるような微妙さがたまらない。
第1巻から最上級の賛美でもって称えられている朝比奈さんはややもすると一本調子になりがちだし、ハルヒは素直でない性格が崩れると主役の座から降りる羽目になりそうだし、何より物語が終わってしまう。長門の場合は、「感情というものを持たない(ように見える)」という人工生命体キャラの定番設定を作者が注意深く扱いながら段々と人間味のあるキャラにしていっている。とはいえ、今回で言えば68Pの「マイクロミリまで目盛りのついた定規で測らないと解らないくらいのうなずき方をした」とか、72Pの「長門が俺のベルトに指をかけて静止している」とか、キョンや古泉にしかわからないような極めてさりげない意思表示ではあるのだけど。

99番地のクロニカ Case3 暁の薔薇(椋本夏夜

「紐育=ニューヨーク」という当て字は知っていたが、「舎路=シアトル」というのは知らなかった。それはともかく、待望のお姉さまキャラ「城ヶ崎縁」嬢登場。実に正統派の美人で作者の本領が発揮されていていい感じである。骨董商としての優れた才能、探偵もどきの推理力、さらには格闘の心得もありそう(日本人という設定からすると武道系か)だし、ちょっと完璧すぎる気もしないではないが、古典的な一話完結もののドラマの登場人物としてはちょうどいいのかもしれない。
自らを「天涯孤独」という縁が「私よりもっとずっと孤独な存在」というクロニカの境遇と過去はいずれ明らかになっていくはず。物に宿った魂を見ることができるという能力が鍵になりそうだが。