ゼロの使い魔 4

見所の多い作り。その尽くが極めてベタなのだが、これまでの3巻でキャラ立てをして積み上げてきたことが功を奏してなかなか破壊力がある。作中の表現を借りるなら「脳髄を直撃する」である。
前巻で才人と一緒にお風呂に入るという大胆な振る舞いに出たメイドのシエスタは今回、

  • 手編みのマフラーは長い二人用
  • セーラー服を身にまとって才人を壊れさせる

異世界ファンタジーとは思えないような道具立てで攻めている。まあ、マフラーくらいはこの世界にも元々あるはずだし、セーラー服はこの世界の「水兵服」として流通していた*1もの(上着のみ)を才人が頼んで着てもらったということなので、それほど世界観ぶち壊しという感じでもないけど。
一方、メインヒロインのルイズは前半あまり目立たない、というかシエスタと才人が仲良くしているのを覗き見てカッカしているのだが、後半に入ってモンモランシーの秘薬(惚れ薬)を飲んだ途端に超デレモードに。
ゲームであれば終わりがある以上、ツンデレキャラが最後までツンでいることはありえないし、そうでないと話が終わらないのだけど、シリーズものの小説は終わりが見えていない状況ではうっかりデレさせるわけにはいかない。デレさせてしまうとそこで話が終わりかねないし。そういう意味では、仮初めの恋愛フィーバー状態を作り出す惚れ薬シチュエーションは二人の関係を大きく進展させずに心置きなくツンデレキャラを甘えキャラにできるという利点があると思う。

*1:現代の世界でもそれは本来そうなのだろうが……。