かしまし 1

主人公はずむが宇宙人に性別を変えられたという設定もすごいが、はずむの想い人であるやす菜が女の子(の顔)しか認識できない体質というのもかなりのとんでも設定である。まあ、フィクションにいまさら突っ込んでもしかたがないが、男から女になってしまったその相手がそういう子だったとは相当なレアケースではなかろうか。
物語上の配役としてはシリアスとコメディの担当がはっきりしていて、

  • シリアス側 はずむ、やす菜、とまり
  • コメディ側 明日太、並子先生、ジャン・プウ

といった感じでわかりやすい。どう見てもコメディ側の面々には恋愛のチャンスがなくピエロの役回り。ただ、シリアス側には入っているものの、コメディなシーンも多いとまりはややもするとやす菜の引き立て役になりかねない。はずむが女の子になってくれてかえって良かったやす菜の方が、女の子になってしまったはずむをどう見たらいいかわからないとまりよりも現状では有利である。
絵的には丸い顔の輪郭が特徴的でちょっと野暮ったいんだけど、心理面の描写を重視するのであればこれはむしろ好都合かもしれない。変に色気のある絵だとキャラ単体で目立ちすぎてドラマに集中できない可能性があるし。
(追記)
もう一度やす菜の「男の子の顔が見えない」云々のくだりを読んでいて思ったのだが、最終的にははずむが男の子に戻ってやす菜と結ばれるという結末もありなのかと。「初めて意識できた男の子が はずむ君だったの/だんだん好きになって」あたりの台詞を見ると、やす菜を正常な(?)異性愛を持てるキャラクターにしていこうという意図があるような気もする。唯一顔が見えた男の子を女性にしてさらに受け入れやすくしたというのは、男性恐怖症の女性に対しむさくるしくなくて礼儀正しい好青年を近づけて慣れさせるのと構造的には同じではないのか、とか。