「未来の白地図」の感想

マリア様がみてる 22 未来の白地図 (コバルト文庫)

由乃「なるようにしかならない、ってば。人間関係ってやつは。言い換えれば、なるようになる、ってことだよ」*1

今回の展開をようやく話が動いたと見るか、まだ引っ張るのかと思うか、個人的には前者かな。祐巳というある意味鈍感なキャラクターが瞳子への気持ちをはっきりと自覚したことだけでも十分だと思う。一度気持ちが決まれば後は早いんじゃないかと。
姉妹の申し出を断られたのは祥子さまと同じだけど、状況は大分に違う。二人は初対面ではないし、何より断られた後にしっかりお姉さまに慰めてもらうとは恵まれている。まあ、もしかしたら祥子さまも蓉子さまと二人きりの時は何かしら励ましの言葉をもらっていたのかもしれない。
祐巳瞳子の気持ちを追っているうちにいつのまにか飛び出した感のある「私の妹にならない?」だけど、マリア像の前で二人きりというシチュエーションはフィクションらしい偶然だとしても、やはり言うとしたらあのタイミングだったのかも。台詞としてはけっこういきなりだが、それまでに祐巳がいろいろ瞳子のことを考えている様子が書かれているので不自然ではない。それにしても、164Pの後半からの盛り上げ方は見事だ。72、3Pの乃梨子の心中の描写でもそうだけど、少女がもがいている内心を描くのが上手いんだよなぁ。色恋でないところがまた。

*1:77P