第6話「その 守りたいものに・・・」

相変わらずマイペースというか演出の間が他のアニメとはかけ離れている。まさに舟(ゴンドラ)で川を進むがごとく。以前にも書いた気がするが、このゆったりとした空気は戦闘も恋愛もないからこそ生まれるものだろうなぁ。
今回初めて出てきたオレンジぷらねっとの社屋はまるで城や要塞を思わせる堅牢で威容のある作り。姫屋がお屋敷風、アリアカンパニーが水上のコテージといった感じなのに比べていかにも大企業らしい雰囲気である。そんな外観の内側では、食堂の風景に見られるように若い女性ばかりの空間になっているというのがまた何とも。考えてみたら、男性の漕ぎ手がいない世界というのも不自然なのだが。
働かない左手を怠慢だとして「おしおきキャンペーン」*1を張るなどストイックな面は相変わらずなアリスが寮(ペット禁止)でこっそり猫を飼っているとは実にあざとい設定だが、さらにあざといのが猫の「マー君」を呼ぶ時の声がいつになく甘やかであることだ。いつもの抑えた声とは全然違うから最初は別のキャラがしゃべっているのかと思った。
三大妖精の最後の一人アテナはアイやアリスとはまた違うタイプの無口キャラ。歌は歌うが、それ以外の場面ではほとんどまともに声を出して話していない。食べ物はこぼすし、コーヒーにシロップを入れすぎて泣いてるし*2、はっきり言って威厳も何もあったものではないのだが、元々緩い雰囲気の世界だけにあまりキャラクターとしてのギャップはなかったりする。アリスや灯里のグラスをあらかじめ取っておいてあげたり、マー君の鳴き声を消すために窓辺で歌ったりと、さりげない優しさを発揮するいい先輩なのだが、アリシアもこれまた優しいことを考えるとなおのこと晃のガテンぶりが際立つというかなんというか。
作画面で前の2回がやや不安定だったのが今回はかなり安定している。特に寮で一夜を過ごした翌日のアリスの顔は第2話の晃を思わせる気合の入った作画のカットがあってちょっと統一感に欠ける感じすらした。エンディング直前の絵だけちょっと崩れていたけど。
アテナの歌が声優さんのものとは思えないほどきれいなのでびっくりしていたら、歌は別で河井英里という人だった。芸大卒だが、公式サイトのプロフィールを見るとクラシックだけでない活動をしている模様(「ムシキング」の劇中音楽とか)。マルチな才能ということではOPの牧野さんと共通するものがありそうだが、製作者のこだわりだろうか。

*1:ドアを開ける時や何かを持つときに左手を使う。あるいは、一人じゃんけんでは常に負けるようにして、うっかり勝ってしまった場合は壁にぶつけたりしている。

*2:アリスのアテナ評で一番受けたのが、「一番大切なことから忘れる」というもの。確かにそれはまずかろう。(笑)