第20話「マテリアルフェアリー」

場面転換の多い話だった。といってもほとんどの場面はまっきーの視点なので、それだけ彼がいろいろな人物と会っているということになる。今回だけ見るとまるで主人公である。希紗は完全に閉じこもりモードだし、傷心の理絵子は余裕がないし。
年長のキャラ二人、須河原アナと深山美佳が年少者の歩とまっきーにそれぞれの語り口で「自分から動くこと」の大切さを説く回ともいえる。須河原アナの場合はどうしてもジャーナリストの功名心が先に立ってしまうところもあるけど、美佳はもう少し内面的な部分でまっきーを心配している感じ。河原で声をかけた時のシーンでは

正樹「僕の気持ちとか、わかってないくせに」
美佳「わかんないよ? 何も話さないんだもん
正樹「知らない人に話すことなんかない」
美佳「じゃあ、知っている人になら話すんだ。
   ……君、どっちにしても話さないよね。
   黙っていてもいつか気持ちは伝わるなんて幻想だからね。
   どんなに近くにいる人だって、黙ってたら自分の考えなんて伝わらないよ。
   しっかりしなよ」

と、相手の理屈を封じこめた上でアドバイスを与えて激励するという余裕ある対応をみせている。それにしても、須河原アナの知り合いというだけでずいぶん親身に面倒を見てあげているものだ。まっきーが泣きながら走り去った後、「(フッ、と笑って)何か、ほっとけないんだよな」と自分でも言っているけど、2年前の歩*1に似たものでも感じ取っているんだろうか。
美佳の言葉を受けて成基や理絵子に会うも冷たくあしらわれてまた落ちこむかと思ったら、「小早川君も、谷川さんも、理絵子ちゃんも、このままじゃだめだ」と意外にタフというか何かをつかんだ様子。あとで美佳にも

あなたの言うとおりだったから。今まで何もしてこなかったから。
でも、それは僕だけじゃなくて、みんなそうで。
僕は、あなたのおかげでそれに気づいたから、だから、このままじゃだめだって、
それだけ言いたくて。

と言っている。「あんた」が「あなた」に変わっているあたりわかりやすい。(笑) それが若さか。
一方、再び電話で会話している美紀と歩だが、おかか婆のことを坂倉に伝えたという話の後での

美紀「私も、そっちに行けたらいいんだけどなぁ」
歩「ありがとう」
美紀「ん、何だそれ?」
歩「何となくそう言いたい気分だったから」
(中略)
美紀「思いつめたらだめだぞ。しんどくなったら、いつでも電話しろ?」
歩「うん。ありがとう」
美紀「だからぁ〜!」
歩「ありがとう」
美紀「もう!」

というやりとりは、歩の変貌ぶりと美紀の微妙に姉さん女房なもの言いが何やらまぶしい。美紀がちょっと不満げなのは、歩に「深山にもこちらに来てほしい」とでも言ってほしかったのかな。

*1:ねこ踊りの日に会っただけだが、確か「結構かわいいじゃん」みたいなことは言ってたような。