第18話「十七歳の出会いと絶望」

「出会い」とは希紗と歩が出会うことで、「絶望」とはブンちゃんがどっしるとしっしんに破壊されることだったのか。旧主人公と新主人公の出会いはともかく、まさか本当に暖色系と寒色系が戦うことになるとは。
前半、希紗が自分の十七歳の誕生日を誰にも祝ってもらえないことを悲しんでいるのはちょっと意外だった。他人を拒否する態度からして、自分自身のことも無関心でいるのかと思っていたのだが、完全な自虐姿勢、もしくは諦観には至っていなかったようだ。
誕生日を祝ってくれるのはブンちゃんだけかと思いきや、成基が(恐らく本人は無意識だろうが)フェイントでプレゼントを渡して祝うという憎い技を見せる。小さな飾りのネックレスというのもさりげなくてスマートだし。希紗が一度電話を切った時に気づいたのかなぁ。
そういうのを見ていると、理絵子が「成基は希紗のことが好きなのかな」と言うのも無理はないが、はなによると「成基は、希紗の中に自分を見てるのさ」ということらしい。将棋盤の前では誰にも頼れない自分の孤独と、極力人間関係を絶っている希紗の孤独を重ねているということだろうか。さらには、「あれは、『一人ぼっち』の二人組ってところかねぇ」と厳しい一言。
前回、あれだけ成基に厳しいことを言われて涙さえ浮かべていた理絵子だが、今回は将棋の本を眺めて勉強したりしていてなかなかめげない子である。(笑) はなの「将棋がわかるのと成基のことがわかるのとは別」という言葉は正論だけど、こういうのはやってみることが大事なんだろうな。
今回、寒色系の光(都市伝説では「幸せを運ぶ闇の光」)を描いた絵の前でたたずむ希紗に歩が自分から声をかけている。まったくもって、田菜編の無気力な彼からは想像できない姿だ。(笑) 「まだ自分にはやることがある」と決意に満ちた宣言をするは、電話番号を相手に渡すは、たった2年でものすごい成長ぶり。個人的にはこちらの方が好感が持てるな。しかし、どっしるやしっしんがブンちゃんを襲うとはさすがに思ってなかっただろう。結果的には、ブンちゃんを破壊する手引きをしてしまったことになるし。次回、どうフォローするんだろうか。