第17話「それは関与できない問題」

希紗:すごいね。
成基:何が?
希紗:成基のいる所。
(中略)
希紗:何もできない。……私なんかいてもいなくても同じだし。
成基:それは違うぞ。
希紗:え?
成基:いてくれないと困る。希紗がいないと、こんな時……誰と話したらいいか困る。

成基の前だと素直な態度を見せる希紗に、見ている方としては複雑な気持ちも浮かぶ。上の最後の台詞の直後、質問をはぐらかした*1上にうまいことを言った成基に対して照れたように肘打ちを食らわすという、このキャラにしては珍しい歳相応の(?)リアクションを見せている。話している間も口元に笑みを浮かべたりしていつもよりは表情豊かだし、変わり者同士の結びつきとはいえ、ずいぶん相手を信用しているものだ。
一方、希紗に対しては配慮した発言をしている成基が理絵子に対しては妙に厳しい。希紗を心配することを「自己満足」と切り捨てたり、「成基は将棋があるけど、希紗にはなにもない」と言ったことに対して「お前は将棋の何を知っている」と突き放したり。まあ、理絵子の行動原理が学校のルールに合わせたものである以上、そこから離れた価値観を持っている成基や希紗には理解されないのも事実なんだけど。
最初の会話で理絵子にきつく言い過ぎたことを反省して、はなと将棋を指しつつ人生相談を受けたのはいいが、三段リーグの大事な一局には負けて、でもそれは将棋人生の終わりではない、と何かをつかんだ様子の成基。棋士としては一段階成長したようだが、そのことを一方的に理絵子に話して、「わかってもらわなくてもいい」とまたもや突き放すのは人としてどうなのか。せっかく向こうが謝ってきたのだから、自分も謝っておけばいいのに。棋士としての自分と理絵子の友人である自分を切り離して考えていればもっと言い方を変えられるはずなのだが。
今回の話では他に、須河原アナに過去付き合っていた男性がいたことが判明。ゴンドラに閉じ込められて動くのを待つ間に携帯の写真を整理していたら、昔二人で撮った写真が出てきて、消そうとしたけど寸前で指が止まったところを見るとそれなりに未練もあるのか。

私は今だってジャーナリストの夢を追ってるよ。
リアルな君をないがしろにしてたわけじゃないんだけどなぁ。
私がほしかったのは、私の仕事を理解してくれる「パートナー」だったんだよね……。

リアルな君、ってのが須河原節だが、理由としては割とありふれているかな。このシリーズでは物語の案内役なので、相手を見つけるという展開はまずなさそうだけど。

*1:全社会的な視点で自分の存在価値を否定した発言に対して、一個人からの視点で相手を評価して存在価値を与えるというのはちょっとずるい気もする。