第37話 「さくらと消えた知世の声」の感想

さくらにとっては最も大切な友達である知世が中心の話だが、なにかもう一つ乗りきれない。今回囮として使ったソングのカードが出てきた第23話 「さくらと知世とすてきな歌」でもそんな感じだったけど。知世はこの年頃の少女としては(カメラの趣味以外は)極めて分別のある大人びた性格なので、我慢強いし、突拍子もない行動には出ないというのが面白みに欠けるのか。苺鈴の騒々しさとは対極である。とはいっても、一人でベッドに座っている時には楽譜を眺めて寂しそうな顔もしているわけだが。
声が出せないものだから筆談になるのは当然だけど、そんなときでも普段の「〜ですわ」という口調を忠実に守っているのがなんだかおかしい(笑)。それだけ書く文字が増えるのだからこんな時くらい敬語なしでもいいんじゃないだろうか。
ここ4、5回くらいで急にさくらのことを意識し出した小狼が、「俺はおまえのことが気になって……」とうっかり口走っている。大道寺邸訪問の際には知世に「いつもさくらちゃんのことを見ていらっしゃるんですね」(またしても丁寧な言葉使いの知世)と看破されているし。
無事ボイスのカードを封印して声が戻った知世が最初に口にしたのはさくらの名前だった。まあ、その瞬間抱きついて泣き出すという素直な感情表現を見せたのはさくらの方だったわけだけど、それを抱きとめて一言「本当に、ありがとうございます」と言っているのは心からのものだったはず。コンクールで歌う前の台詞、「この歌はさくらちゃんのために歌いたいと思った歌ですから」がそれを補完しているのかも。