「マリア様がみてる 3 〜いばらの森〜」の感想

マリア様がみてる 3 〜いばらの森〜 (マーガレットコミックス)
ブックカバー目当てで買ったマーガレット3号の連載分(「〜長き夜の〜」第2回?)で絵が妙に野暮ったい感じになっていて、いったいどうしたんだろうと思ったのだが、この巻に関しては 1巻、2巻と差はなくて安心して読める。やはり祥子さまがきれいに描かれていないと何か落ち着かない。
文庫一冊を漫画でも一冊にまとめるという構成は今まで通り。
アニメ版ではいきなり祥子と祐巳が本を買っている場面になっているような印象だったが、漫画では、序盤の由乃と令が試験勉強をしていて「いばらの森」のことが話題になるという場面がしっかり描いてある。
蔦子さんの「コスモス文庫はイラストがなくて〜」のくだりは完全に枝葉末節な部分だからか入っていない。代わりといってはなんだが、「いばらの森」とロサ・ギガンティアのことは噂段階 で、ということを祐巳と話しているときのカットが入っている。普段ロサ・ギガンティアを皆が話題にするときの一例、「ロサ・ギガンティアと目が合っちゃった♥」という表情を、わざわざ眼鏡を外して即興で演じているというナイスな描写。
アニメ版に比べれば格段に描写の細かい漫画版だが、ちょっと気になったのは、中盤の薔薇の館に由乃祐巳を残してロサ・ギガンティアが過去を語るという場面の最後(原作127P)にある

好きな人を好きなだけ見ていられるって、本当はすごく幸せなことなんだ。

という文章が抜けていること。直前の「ロサ・ギガンティアはまだその人のことを好きなんだ」と直後の「祐巳は、無性に祥子さまに会いたくなった」の間に来るこの文章がないと、なぜ祐巳が祥子さまに会いたくなったのかがわかりにくいと思う。
後半の「白き花びら」もおおむね問題なし。聖と栞が親しくなっていく過程を多少絵にしているだけでも違うと思う。聖が群れることを嫌う性格だったことも内面描写として描いているのは漫画ならでは。
絵的には1年前の祥子や蓉子が微妙に若く描かれているのが面白い。アニメ版で外側にはねた髪が印象的だった先代ロサ・ギガンティアは軽くウェーブした感じの髪になっている。祐巳の髪もオリジナルより柔らかいデザインにしているし、作者は尖ったような髪があまり好きでないのだろうか。
あと、帯は聖を演じた豊口めぐみさんのコメントとして「聖は救われました。栞に…そして志摩子に。」。ちなみに、1巻は原作者今野先生の「思わず、ホロリと来てしまいました。……原作者なのに。」、2巻は由乃役の池澤春奈さんのコメント「令ちゃんは、漫画でもかっこいいです…」だった。
しかし、最後に載っている4巻の予告を見るとマーガレットで見たときの絵なのでまた一抹の不安が。多分、目を小さく描いているところが違和感を生んでいる原因だと思うんだけど。