パンプキン・シザーズ第4巻

maeoki2007-02-01

Pumpkin Scissors(4) (KCデラックス)

Pumpkin Scissors(4) (KCデラックス)

まったく‥‥ 貴族である上に 少尉でもあらねばならんとは

この巻は最後の方にあるこの台詞に尽きるかなぁ。決闘にいたる過程で皇帝にも、そして平民にも同等に対するという貴族としての誇りを見せるわけだが、最終的に少尉を支えているのは3課の一員であるということのようだ。そして、伍長とのつながりも。それにしても、作者は決め台詞を作るのが上手いと思う。少尉の凛とした性格によるところが大きいとはいえ。
伍長に関しては、ランタンを灯していない時の気弱な部分がかなりさらけ出されている。平民相手にも逃げ出してしまうし、近衛兵に対したときもフレイルの鎖の音にすっかり怯えてしまっている。最後にようやくランタンを灯して戦う決心をするにあたっては、やはり少尉の存在が大きい。精神的に今まで完全に頼っていたその背中を自分が守ることに意義を見出すというわけだ。ここでも内心の声だがいい台詞がある。

「守ってくれ」なんて言う人じゃない
辛い時ほど 背中しか見せてくれない‥‥ だから
せめて その背中くらいは守る
それが‥‥ 俺が3課を名乗る最初の仕事だ!!

あとはまあ、小ネタだが。たとえば、冒頭のダンスシーンで少尉が足を踏んづけてしまったところとか。レオニールが「数ある靴からこの爪先を選んでいただいたこと‥‥ 感謝します 小鳥のような姫君」といかにもきざな台詞を口にして気にしない様子なのを見てエリスが「あいつもしかして マ――」と何かを言いかけるのだが、最初は何を言いかけたのかわからなかった。多分これは「マゾ」の意だろうと何度か読んでいて気づいたが。そういえば、この姉二人も武門の家系に育ったせいか何がしかの戦闘能力がありそうなのは54Pの同じくエリスの台詞「出口までは私と姉さんで守るから‥‥」でわかる。後の展開を見ればどう見ても三女が一番この道には長けている感じではあるけど。