第02話「子ヤギたちの行方」

うーん。前回は気にならなかった豪快な話のすっ飛ばし具合が今回はなぜか気になる。冒頭、乗馬中のアデイルがフィリエルを見つけるシーンで庭師のヘブンリー親子と会話するシーンがないのはまあ、しかたないけど、その後アデイルやユーシスと会話する場面がなぁ。
ルーンを探してもらうように頼むフィリエルに最終的にユーシスが折れるという場面だが、1分くらいで終わってしまうので、仮にも伯爵家の若君であるユーシスの言葉に重みが感じられない。もう少し渋ってくれないと。フィリエルにしても座ったまま涙を流すのではなく、原作にあるように涙を見せまいとして席を立とうとするという描写はあってもよかったのでは。ノベルス版164Pに

他人の足元に泣き伏すことだけはしたくないと、ずっと思っていたフィリエルだった。憐れみをひくために、すべてをなげうつことなどできないと。なのに、今の彼女はそうしていた。

とあるが、そういう気持ちが裏にあっても流れた涙であればフィリエルのルーンに対する気持ちもより深いものとして感じられただろう。説得している時の

「あたしはここへ、かくまっていただくために来たわけではありません。ルーンの行方をつきとめて、助ける力を貸していただきたくて、お願いに来たんです」(ノベルス版162P)

も同様。
ルーンを救出するために屋敷を抜け出したフィリエルやアデイルがユーシスたちに捕まる場面も個人的にはもう少し二人にがんばってほしかったところ。というか、ユーシスが直接捕まえたのではガーラント達の士気が盛り上がった理由がわかりにくい気もする。アデイルがユーシスに気づいて言った「悪漢の正体はお兄様だったの?」という天然ボケな台詞がカットされているのも残念だし、その後ひとしきり続く口げんかもこの兄妹の本質的には信頼しあっている関係を示すために入れておいた方がいいと思うのだが。