かしまし 3

二人で水族館に来たとまりとはずむが当然のごとく初々しいカップルぶりを披露しているけど、やはり雰囲気的にははずむが男の子のままでいるのと変わりない気がするんだよなぁ。幼なじみ同士がお互いを異性として意識して最初のデートという構図そのものである。それにしても、2巻のやす菜とのデートでもそうだったのだが、とまりとのデートでもその場にいない女の子*1のことを考えているはずむも思い切りが悪いというかなんというか。

後半はまた急展開というか、性別反転のからくりが一種の転生だったことがわかるのだが、それは不完全な形のものだったためにはずむの命が後30日ということが判明する。といっても病気ではなく運命として定められた寿命のようなものらしいけど。宇宙人の宇宙先生によれば、はずむの寿命を延ばすためには再び転生もどきの手段をとる必要があり、

手は ある
君たち 誰かの中から 新たに運命因子を移植する
゛彼女"に残された道は 他者の運命因子に寄り添う形で生きること
ただひとつ純粋な心で 運命をともにしたいと願う時
その願いの強さで 運命因子はつながっていられる

とのことだが、別にどちらかの肉体が消滅するというわけではないのかな。まあ、なんとなく移植した側の寿命が半分になりそうな感じはするけれども。いずれにしても、やす菜ととまりのどちらも選べないというはずむの優柔不断さに決断を迫る展開には違いない。
この巻でも語られているやす菜の個人的事情――唯一顔が見えた男の子がはずむだった――を考えるとはずむに対して執着する気持はわからないでもないんだけど、ちょっと独占欲が強すぎる感じもする。2巻のカレーの話で「私ははずむ君のすべてが欲しい」と言っているのを見てもそれは明らかだが、それをあえて抑えてとまりとデートさせるためにはずむの観測の当番を代わってあげるという献身的な行動も、逆に思いの強さがにじみ出ていて恐いくらいである。とまりの「(やす菜には)負けたくない」というある意味男らしい(?)宣言の方がはっきりしていて個人的には応援したくなる。

*1:前回はとまり、今回はやす菜