「零〜刺青の聲〜」の感想

零~刺青の聲~

零~刺青の聲~

去年の夏、発売直後に買っておきながらまるで手をつけてなかったのだが、バイオ4をクリアしたことで勢いがついてプレイ開始。
過去2作もプレイしていることもあり軽くクリアするつもりだったのだけど、意外にこれが難しかった。そもそも初回のプレイ時間が過去2作は10時間を少し越えるくらいだったのが今回は20時間以上である。なぜそんなに時間がかかるのかといえば探索と戦闘に時間を取られるからだが、探索については

  • 扉を開ける為の必須イベントの起こし方が分かりにくい(鍵を見つけるものだけでなく各所にいる霊を倒す必要があったりする)
  • 舞台が常に屋内(大きな入り組んだ屋敷という設定)なので風景の変化が少なく迷いやすい

あたりが原因で、戦闘については

  • 動きのすばやい敵が多く、しかもテレポートするので撮影するまでに待つ時間が長い
  • 複数の敵に襲われることが多く、しかも狭い場所で戦うことが多いのでコンボをつなげて早く倒すことが難しい*1

などが原因か。
試しに前作「紅い蝶」を2年ぶりくらいにプレイしたら、道なりに進めばたいていOKな探索部分と敵がゆっくりと近づいてくるせいで楽勝な戦闘部分になにやら隔世の感さえ覚えた。たとえていうなら、バイオ4がいままでスローな動きしかしなかったゾンビに替わって動きの速いガナート(寄生体に操られた元人間)を持ち出してきたようなものだけど、探索部分についてはむしろ簡略化して進みやすくしたバイオ4と違ってこちらは両方難易度が上がっているのでちょっと歯ごたえがありすぎるできになっている感あり。

不満な点

上記の戦闘や探索の難易度高騰、というか必要以上に制限がきつくしてある点も個人的に不満だったが、あとは扉を開ける時の読みこみに時間がかかること。時間にすればほんの数秒だけど、なまじ部屋をあちこち行き来する作りだけにけっこうストレスがたまる。
他には、夢の中での探索という今回の設定上現実の世界(主人公怜の家だけだが)でも歩き回るというシステムがホラーとして必要な閉鎖感をそいでいる気もする。途中からは夢の屋敷から出る(目覚める)ことも可能になっていたりしてどうにも緊迫感に欠ける。ゲームとしてのホラーといえばそれまでだがちょっと都合がよすぎないか。
過去2作と違って主人公の想い人が肉親でなく恋人(婚約者)である今作だが、残念ながら作中では怜の想いをうまく表現しきれなかったように思う。クライマックスで怜が優雨に想いをぶつける場面も個人的にはちょっと台詞が上滑りしていると感じた。優雨が生きていた頃の二人を回想する場面でも事前にあったら少しは違っていたんじゃないだろうか。

良かった点

刻命館のシリーズも含めてここのスタッフは儚げな女性キャラを作るのが上手なんだけど、今作でもそれは健在。ただ、今までと違って成人した大人の女性であるために若干その魅力を発揮しにくかったともいえる。大人だけに成熟した身体の線を(数度に及ぶシャワーシーンはいうまでもなく)見せているのは結構なのだが。
第1作の主人公深紅が再登場というのも個人的にはうれしかった点。キャラのモデリングも以前のままで違和感はなし。強いて言えば怜と話す時はもう少し表情をつけてほしかったかな。台詞が増えたことで声優さんのこのキャラへのはまり具合を再認識することにもなった。あまり他の作品では見かけないけど。
ゲームとしての細かい点で言えば、いつでもオプション画面(画面の明度を変えたり、振動の有無を入れ替えたり)に入れること、浮遊霊*2を撮りやすくなったことがある。特に後者は、前作でカメラをかまえていても霊が出現した瞬間強制的にファインダー画面を解除されるという仕様が困りものだっただけにだいぶ楽にはなっている。

*1:敵が壁の向こうに行くとコンボにならないし、2撃目、3撃目の最中に攻撃されることもある。

*2:攻撃してこない霊。多くは出現した後数秒すると消える。