第10話〜第12話

第10話「アラシノヨル」

カラスとイサミやアイやミホが対面する場面は前回までの流れを引きついでほのぼのムード。カラスが未来人という説明をどこまで信じたのかはわからないけど、皆で車座になって談笑している図はBGMものどかなものだし、実に平和な風景である。
ハルカの家を辞して帰る時にユウとイサミが一緒なのは終盤に出てくるカラスとフクロウとの対比だろう。未来人をかくまう自分たちについて笑いあったり、アトリに襲われたイサミを助けたり、仲の良い幼なじみとしての気安さやつながりが見て取れる。次回のタイトル「スレチガイ」からして、それが壊れる展開になるのか。
コサギの台詞

お前が現れたからだ。
全ての始まりはお前がいたからだ。
お前さえいなければ!

は、多分に主観的な感情が混じっていそうだが、いずれにしてもハルカが全ての鍵を握っているということだろうな。個人的にはSF的なしかけは早いところ説明してくれた方が助かるけど。

第11話「スレチガイ」

前回と今回は割と作画に色気がある。2話や7話ほどではないが。そういえば最近、お風呂がないな……。それはともかく、フクロウとカラスが対決かと思ったら、フクロウが「おまえが消えてからゆっくりとトルクの確保をすることもできるからな」とまたこの次ということに。
唐突に始まった内田博士の量子論は今までの話のまとめみたいなものかな。要は、「量子が不安定だからその集合である世界や時空も無限に存在する」という感じか。ラクリマ時空界の者たちは不安定な存在ということらしい。第8話でアトリが「強くなるために細胞を量子的に改変させた」とか言ってたのもこのことだろう。
塾に行こうとするユウとそれを引きとめたイサミが会話する場面を屋根の上からフクロウとカラスが眺めている。なぜかこの時、二人とも自分たちのことを昔の名前で呼んでいる。「変わらないな」とお互いのことを言いつつ昔を懐かしんでいるのか。

第12話「タタカイ」

時の放浪者「時空は無数に存在し、君もまた無数に存在している。
その中で、君だけに時空を見る力がある。
君が見ることによって、時空が確定し君の現実となる」

「親友同士を仲直りさせるには?」というハルカの質問に「いっぺん殴り合いのケンカでもしてみるといいんじゃないか?」と男らしい答えを返すハルカ父(姓は黛)。すぐに「冗談だよ」とは言っているが、冗談ではすまないのがフィクションの世界でカラス(ユウ)とフクロウ(イサミ)の闘いは殴り合いどころか殺し合いである。
結局、乱入してきたアトリを協力して倒したことで気が変わったか、フクロウが「俺の負けだ」といって闘いは終わるのだが、今度は謎の仮面にフクロウが消滅させられる。ハルカに対して言った「未来は変わらないんだよ」という台詞は、この場合冒頭にあったカラスが死にゆくフクロウを腕に抱いている映像(夢)と現実のできごとを結果的に同じくさせたことを示しているわけか。どうやらこの仮面がラスボスっぽいが。