失楽天2005.9.20号

鳴子ハナハル特集号。買っておいてなんだけど、普通に氏の単行本は出せないんだろうか。今回、収録されていない「岬まで」や「蔵(前、後編)」を加えれば十分な分量はありそうだし。アンケートはがきにでも書いておくかな。
すぐに全部読むのも何だかもったいないので、目を通したものだけ感想を書く。
・紅い水 生ける腎臓透析機として生み出された少女と患者の男性の恋。血を交換することで思いも通じ合わせるという奥ゆかしさが大正ロマン*1な雰囲気と合っている。結末をどちらにも振れる話だけど、ハッピーエンドなのはよかった。
・踊る大観覧車 今回載っている中では一番気に入った作品。たとえ虚偽の映像でも恋人が他の男とやっちゃっているところを見せられたらたまらんだろうな。読んでて思ったんだけど、これ女の子の方には心理的揺さぶりをしかけていないのは戦略的*2には片手落ちのような気もする。まあ、それをしてしまうとかなりの確率でこの純情カップルは破滅しそうなので、ほのぼのした空気で終わらせるためにはこの方がいいのかも。
・スーサイドライン 男の左手の結婚指輪をきっちりどのコマでも描いているのがポイントなのかなぁ。炎上寸前の車から逃げ出す時にお互い一度手を引っ込めかけるところも多分意味がありそうなんだけど、自分にはわからなかった。159Pの記述を見るとデビュー前に描いた作品らしいけど、それでこの絵と内容というのはさすが。
他の作者のものもついでに。
・女子アナ悶絶レポート(ハマダユタカ 下の名前が同じだから言うわけじゃないが、田中ユ○カの絵にちょっと似ている。あと、宮崎摩耶も混じってるかも。内容的には後者に近いというか、もう少し救いのある話にしてほしかったけど。男女ともに相手を受け止める余裕がないのがまずいのか。
・死神ナース(蜂矢マコト その看護婦と寝た患者は例外なく死んでしまう、だから死神というわけだが、これは途中で落ちが読めた。多少絵はあっさり目ながらエロ多めでいいのだが、体位を変える時にはその過程もコマにしてほしいと思うのは自分だけだろうか。まあ、この漫画に限ったことでもないんだけど。

*1:DNAを操作して人を創り出せるという設定からして、科学技術的には現代よりも進んでいるはずだけど。

*2:観覧車という密室空間を使って恋人を分かれさせることを楽しむお嬢様と執事がしかけ人。