「フタコイ オルタナティブ」の感想をまとめて

ゲームで終わりが近づくと、たまに中断して放置する癖があるのだが、アニメでも似たようなことがあって、これも3週分見てなかった。この作品の場合、途中から路線が変わっていることもあって、自分の中で最後の締めがどうなるか予測できないから不安になるというのもあるけど。
FILE-11 燃える二子魂川
沙羅と双樹の抱えている事情がわかってから、ひたすら腰の抜けた態度を取り続けていた恋太郎がようやく戦うことを決意してイカと対決、なのはいいけど、元族のヘッドだったとはちょっと意外だった。まあ、第2話だったか父親とイカの対決の回想に出てきた高校生時の恋太郎はリーゼント頭だったから、まるっきり唐突な設定というわけでもないのだが、ここ数回の情けない態度を見ているとなぁ。それならそれでもっと早くからやる気を出してほしかったような。高速道路上でのイカとのレースで、元の族仲間と思しき兄ちゃんたちが集結して恋太郎の後押しするという描写が、「族であること、すなわち悪(わる)であることは男であること*1」という肯定的な表現だとすると、製作者は族であったという出自をマイナス要因にはしていないようだし。
双樹の「恋太郎までいなくなったら、私……。二人でやっていこうよ」という説得に対し、「二人じゃないだろ。三人だ。三人じゃないとダメなんだ」と吹っ切れたような答えを返す恋太郎。直接的にはイカが「お前の大切な物を全部燃やす。事務所、お風呂屋さん、お肉屋さん、(中略)最後に、女だ」とあからさまな挑発を行ったことで危機感に目覚めた感が強いけど、一応これで鬱エンドにはならないと見ていいのか。
FILE-12 光りある場所へ
フィクションの物語での結婚式はたいてい成立前に邪魔が入ると決まっている*2けど、やはり見ているとドキドキする。相変わらず三ツ木グループの御曹司はやたらと誠実でナイスガイだしさ。結婚式の前にこんなことを言っている。

こんなことを言っても信じてもらえないかもしれないけど、僕は……君のことが好きだ。
正直に言って……今は愛と呼ぶには、このばかげた結婚を正当化するには、足りないと思う。
でもね、沙羅。双樹を守った君の優しさを、運命を受け入れた君の強さを、僕は尊敬する。
そして、これから知ってゆく君のたくさんを、僕は好きになれると思う。
幸せにする。今日の結婚式で、僕はそのことを神に(誓う)。

そりゃ沙羅も受け入れざるを得ないし、ずるいよなぁ。いっそ単純な小悪党、もしくはロリ趣味のお坊ちゃんでいてくれた方が話がわかりやすくていいのだが。(笑)
指輪の交換をしようとしているところに、恋太郎と双樹が到着。あの壊れかけのプロペラ機でいったいどうやって着陸したんだろう。まあ、それはともかく、いざ結婚式の真の意味*3を大真面目で説明しようとしたら、何も事情を知らない沙羅にはものすごく荒唐無稽な話に聞こえて呆れるという脱力シーンはいいタイミングだった。すでに運命は恋太郎たちの方へ味方しつつあるから、ここでのギャグはそれほど浮いて見えない。「二子スポ」とかのパロディネタも違和感なく見られる。
最後の場面では、恋太郎が双樹にいうことを聞かせる為に*4キスをするというヒーロー的行動を決めていてやたらとかっこいい。(笑) 恋太郎の方からキスするのは初めてかな。一瞬、瀕死の重傷を負って遺言でも言うのかと思ったが、さすがにそれはないか。
FILE-13 3人でいたい
戦艦も戦車もかなわないような悪の秘密兵器が生身の人間のひと蹴り(探偵キック!)で倒されるというのも無茶苦茶だけど、これも一種のお約束なのかなぁ。この話の場合、父親譲りの技という側面もあるわけだが。それにしても、最後の2回だけ見ているとジ○リのアニメのようだ。落下する恋太郎と沙羅を双樹が飛行機で助けるという超アクロバットなどは特にそんな感じ。
で、上で書いたようにイカの化け物の親玉を倒したら、真っ白い空間に横たわった恋太郎が

このところいつも同じ夢を見る。
ひどくでたらめな夢で、親が決めた結婚相手やら、複葉機やら……(中略)
筋道を立てて説明するのはしんどいんだが、一言で言うなら……

とか言い出して、これはもしかして、今までの話全部がご破算の夢落ちかと思ったら、事務所で恋太郎が寝ているだけだった。ちょっと心臓に悪い。(笑)
探偵事務所の看板に「Ⅱ」を加えて、また今までの騒がしい日常が戻ってくるわけだが、見ている方としても待ちわびたというか待ちくたびれた描写。やはり中盤からの鬱っぽい展開と、後半の8話〜10話の無力過ぎる恋太郎の姿がちょっと重たすぎて、最終2話のカタルシスをもってしてもなにかすっきりしないものが残るのは否めない。もう1、2話多めに日常のドタバタを見せておいてもよかったかもしれない。
あと、EDの歌が最初の頃の歌詞に戻ったようで微妙に違っていて、「夏の日が〜」で始まる部分が

春の日がキラキラ
笑顔とともに
限りない幸せのれんさ

になっている。マキシシングルの歌詞にもないし、物語の最後が春であることに合わせた特別バージョンかな。

*1:その前の場面で、警察官の針山が「九回裏からでも逆転できるのが男稼業のいいところ」と言っているのも似たような意図か。

*2:ハッピーエンド後のエピローグはまた別か。それでも新郎、新婦のどちらかが危険な職業に従事していたりすると安心できないかも。

*3:わだつみ機関という秘密結社のイカと人間を合体させる計画の為に二人が結婚する必要があった。

*4:沙羅を助ける為に危険な場所へ向かおうとする恋太郎に双樹もついていこうとしたので、自重させる為。