フタコイ オルタナティブ「FILE-09 フタコイ」の感想

引き続き重たい雰囲気。とうとう沙羅はいなくなってしまい*1、探偵事務所は火事でなくなるし、残された恋太郎と双樹が楽しげに振舞うシーンが出てきても痛々しいだけである。笑顔の裏にある悲しみがあまりにも透けて見えすぎているから。また、ここまでシリアスに踏み込んでいる段階ではデフォルメタッチの絵はかえって浮いてしまう気がして違和感があった。
萌王にシリーズ構成を担当している金月氏のコラム*2があって、13号の分はまだ目を通していなかったのだけど、読んでみたら内容がまさにこの作品についてのものだった。「フタコイ オルタナティブ」という作品のコンセプトについてこう書いている。

「『妹という名の記号』じゃなくて、『妹という名の日々』なんだ。(中略)記号みたいな双子が『二人一緒じゃダメですか?』と虚空から湧いて出るお話ではなく。僕は彼女達と主人公とのたいせつな日々を描く。そしてその喪失を描く。そのとき彼女達はこう問うだろう。『三人一緒じゃダメですか?』、と。それがたぶん『フタコイ オルタナティブ』という作品なんだ」
(注:誰かに語りかけるような口調なのは、どこまで本当かわからないけど、自分の考えを義妹に伝えるという話だから)

ちょうど前回と今回が「たいせつな日々」の「喪失」であったわけだ。しかし、来週以降についてはどうなるかわからないなぁ。恋太郎は「やりなおし」と言っているが、ゲームのように特定の分岐点に戻れるわけではないし、双樹との関係だけでハッピーエンドに持っていくのは難しいかもしれない。

*1:自分から元の保護者のところに帰った。

*2:タイトルは「おとこみち」。残念ながら今回が最終回。