「ないしょのつぼみ」の感想

ないしょのつぼみ (1) (ちゃおフラワーコミックス)

ないしょのつぼみ (1) (ちゃおフラワーコミックス)

思ったほど過激ではないというか、むしろ低年齢向け少女漫画の典型のようなキャラクター設定が鼻につくという感じだった。特に男性キャラ。
顔が普通によくて優しくて、正しいことは堂々とできる行動力があるが、男女のことには初心なナイスガイ、というのはデフォなのか。そして、その上級生からも告白されるくらい注目の的の彼が、なぜか主人公と親しくなっていくというのも予想通りでちょっとひねりがない。そもそも、お互いを好きになるという心の動きがかなり急ぎ足に描かれているせいか唐突に感じられるし、小学生の段階でそこまで恋愛感情を自覚できるのか(主人公の友人である沙耶が双方の良きアドバイザーになっているとはいえ)疑問でもある。また、主人公ではないが、学校の中で普通にキスをするカップルがいるというのはフィクションとしてもどうなのかと思った。一応女の子の方は愛情表現過多な両親がいるという設定らしいのでませているだけなのかもしれないけど。
女の子の生理*1であるとか、母親の妊娠とその仕組みだとかは、あくまで各キャラクターの成長を演出する(認識させる)手段として使われていていかがわしさがないのは評価したい。「小学四年生」(及び「五年生」)という媒体を考えれば当然とも言えるが、作者の資質もあるのか。
大人びた同級生の沙耶の正体が、実は主人公の妹として生まれてくる子供の意識体の実体化(?)だったという展開は意外だが、個人的にはあまり意義を認められなかった。生まれてくる子供に愛情を持たせるという意味はあるにしても、主人公の両親はごくまっとうな人間なのでわざわざおとぎ話めいた設定を持ってこなくても主人公は自分の妹を愛することができると思う。すでに第1話の段階でも「(妹が生まれることは)うれしーに決まってるじゃん」と言っている(12P)わけで。それに、基本的にはまだ無知で未成熟な集団である小学生の中で一人もののわかったキャラがいると話がまとめやすくもなると思うのだが。まあ、大人の読者としては子供ばかりだと感情移入がしにくいというのが本音。(笑)
第一巻にしてすでに主人公と相手の男の子は告白を済ませて両想いになってしまい、二巻以降はどうするのかという心配もあるが、いらぬおせっかいだろうか。でも、なまじ性的な部分を包み隠さず描いているこの作品では告白の後はキス、その後は〜という可能性もあるわけで実際にやってしまうといろいろ問題がある気がする。

*1:男の子の精通も描かれている。事後だが。