<第35話 「さくらのすてきなクリスマス」>の感想
最初のところでさくらと知世がさりげなく手をつないで歩くというシーンがある。「(さくらに渡す)クリスマスプレゼントはもう決まっていますわ」と言う知世に対し、さくらも「ありがとう」と返したあとのことだが、実際に渡している場面は出てこないのが残念。
雪兎に渡すプレゼントの選択に悩むさくらは苺鈴に相談するのだが、渡す相手が小狼でないせいかずいぶん真摯な対応。ここだけ見れば結構いい娘である。
雪兎をクリスマス*1の遊園地へ誘うための電話をかけるのに、ケロちゃん曰く「1時間も」悩むさくら。ベッドの上に寝転がったり、縁に座りなおしたり、いかにも恋する乙女のナイーブな心情が現れているわけだが、部屋着のスカートが短いためにかなり際どいカットがある。まあ、この作品で中を見せるなどというはしたない仕様はどう間違ってもないのだが。
結局ケロちゃんがリダイヤルボタンを勝手に押すという気の利かせ方*2をして、雪兎とのクリスマスデートはめでたく実現。当日のさくらの衣装は真っ赤な帽子にコート。黄色のコートを着て偵察&撮影に出てきた知世の手作りかと思ったらそうではないらしい。それにしても、前回のクイズラリーの話でも思ったことだが、7歳年下の小学生の女の子とデートをする高校3年生というのは、世が世ならまさに「ロリコン」扱いかもしれない。雪兎は少女漫画における男性キャラの一典型として、美形でやさしくて頭もよく、性的に飢えていない(欲求があるのかどうかすら疑わしい)、という理想形なので、まったくそんな感じはしないけど。遊園地に着いた時に、右手をダンスに誘う時のように差し出すという紳士的だがちょっとキザなポーズも決まっている。
いくつかアトラクションを回った後で小狼と苺鈴のカップルに出くわし、それからはダブルデートに。憧れの人と一緒に歩くという状況にロボットのように手足を伸ばしたままギクシャクと歩く小狼だったが、昼食の席では前回同様、雪兎とさくらへの想いに揺れ動くという場面が出てくる。異様な速さで料理を口に運ぶ雪兎を擁護するために「食べ物がたくさん食べられるのは……」と言いかけたのに対し雪兎が「健康な証拠だよね」と答えて、さくらも「本当にそうだね」と賛同してくれたのを見てなぜか顔を赤くするというわけだが、それを見て何かと勘のいい桃矢お兄ちゃん*3は「このガキ……」と面白くない様子。
「ファイヤリー」のカードは四大元素のカードの一で強力、ということでさくらの持つ四大元素カード「ウィンディー」と「ウォーティー」を同時に発動して捕まえるという荒技。この場合、遊園地内にいる桃矢や知世や苺鈴を助けるため、そして全てのカードを集めるという当初の決意を守るためというさくらの強い思いがそれを可能にしたというのがきれいな解釈かな。
無事カードを封印して日が落ちた遊園地の観覧車に二人きりで乗るさくらと雪兎。それを別のワゴンに苺鈴と乗った小狼が見るのだが、またしてもさくらを見て赤面している。どうも見たところ、さくらの笑顔に弱いようだけど、これはもうベタな「笑っている顔が一番魅力的」というあれなのか。
手作りの雪兎人形を渡して一安心のさくらが外を見ると、黄金色に光る粒が空から降っている。ファイヤリーを封印したことで力がほんの少し戻ったケロちゃんの「大サービス」だった。ここでもOPの「Catch You Catch Me」がかかる。ちょっと作画の省略という感じがしないでもないけど、まあ、いい曲なのは確か。
人形をひとしきり眺めていた雪兎がさくらに声をかけて一言、「さくらちゃん……(人形を掲げて)来年もまた来たいね」。そんな思わせぶりな態度をとっていいんだろうか。さくらはさくらで、うれしそうに頬を染めたあと窓の方を向いて「……はい」だし。この二人の歳が離れていなければ最後まで行ってしまいそうなくらい雰囲気としては最高なんだけど。
別にいつもチェックしているわけでもないのだが、スタッフロールの原画のところに西田亜沙子*4氏の名前が。
ちょっと今回は長くなってしまった。感想を書く方が見ている時間よりはるかに時間がかかっている*5というのもどうなのか。