つめあわせ/堺はまち

maeoki2007-03-16

つめあわせ (セラフィンコミックス)

つめあわせ (セラフィンコミックス)

表紙は表裏とも作者のサイトで見られる。阿吽に載った作品が中心で、他にばんがいちのものが2編ある。表紙からして全然隠れていないのだが、中の漫画部分でも修正とは名ばかりの細い白線だけの隠し方なのはいいのか悪いのか。
内容としては、無理やりなものはないがとにかくエロ重視という感じで最初のページから絡みのシーンが出てくるものもある。10作品ある中で、恋愛ドラマを組み込んだラブコメ系なのが半分はあるけど、それでも「告白→エロ」というより「エロ→告白」の流れになっているものが多くて、いわば「体から始まる恋」(「ハコイリ(Cuvie)」の聡子の台詞)とでもいうか。
しゃぼん 風俗業の女性との恋というのもフィクションでは割とよくありそうだが、女性側の視点から描いて(しかも幸せな話になって)いるのは珍しいかも。女子高生にしてこの仕事をしている眼鏡の子がヒロイン。憧れていた同じクラスの男の子「竹田君」が客として店に来て、それまで割り切れていた仕事ができなくなるという流れで、最後は非常にロマンティックにまとめている。
悪魔が来たりてナニをする♥ 頼んだ覚えのないホールをすぐに使ってみるわ、その後に出現した裸の女の子とまぐわろうとするわ、主人公の性欲魔人ぶりも相当なものだが、相手が悪魔ときてはそれくらいでないと勝負にならないのか。結果的に異様な精力で悪魔の女の子を支配下に置いてしまうというエロメインな展開である。
商店街の女王 商店街の人たちをまとめるために一人の女性がその身を捧げるという話だけど、「女王」とあるように立場的には崇められる側で、単なる性処理係でないのでノリは明るい
どっちがマスター? 男性が極端に少なくなり女性の結婚競争率が高くなったので、過剰な(要は風俗まがいな)お見合いサービスがある社会という設定。タイトルで展開がわかってしまうのが難だけど、男の側がそれまでの遊びだけの気持ちだったのを情愛に変えさせるヒロインの台詞と心情は上手く描けていると思う。男の独占欲を刺激するのはやはり効果的ということか。
覚醒 ラブ度は一番低い話。まあ、どちらが主人公でもいいけど、男の子にしても女の子にしてもエロの快楽でお互い満足しているようだから一応OKなのかなぁ。
恋の授業は放課後に 女教師より生徒の男の子の方が主導権を握っている話で、どうかすると無理やりな方向に流れがちな構図だけど、これは恋愛寄りの話になっている。将来の結婚の約束で締めるという、ちょっと定番過ぎる展開ではあるが。
Border line この本の中ではむしろ異端な「告白→エロ」の流れ。幼馴染みの女の子との相思相愛というベタな話なので少々起伏には欠ける。半分以上のページがエロという描写の濃さはさすがといえるけど。
Love Letter 掲載されたのが’03年のばんがいち4月号ということでかなり古いせいか、絵柄も現在に比べると素朴な感じがする。冒頭に後姿だけ出てくる手紙を渡そうとした相手が誰なのか予想がついてしまうけど、予定調和でもハッピーエンドなら個人的には文句はない。
恋の魔法は半人前 上の2ヶ月後という掲載時期を考えると一種の「ハリ○タ」オマージュ作品か。まあ、キャラはだいぶ違うけど。男の子の側だけの恋愛ドラマかと思いきや、ヒロインの方にも隠れた気持ちがあったということで、「エロ→告白」の流れをうまく使っている。
エトセトラ♥エトセトラ 4ページの体験告白風短編。愛もないではないが、基本的には女の子たちの地味な見かけとエロのインパクトのギャップを見る話かな。
あとがき これが初単行本らしいが10年近く漫画を描いているというコメントには驚く。でも、絵の完成度を考えると不自然でもないかな。